2009年1月20日火曜日

アポーニョ ジプシー少年の夢


 マラガCFのMFアポーニョことアントニオ・ガルデアノ・ベニテスは、マラガの中でも最も治安が悪く、貧困層が集まるパルミージャ地区の出身だ。この地区は隣接するパルマと合わせ、ドラッグ中毒者や犯罪に手を染めた移民、またジプシーたちが多く住んでいて、日中でも警察官が地区の入口に常駐している。
そしてこの地区で生まれ育った若者の中には、親と同じように犯罪や麻薬に手を出してしまう者や、世間からの偏見でまともな職を得られず、ゴミのコンテナから少しでもお金になりそうなものを拾い、生計をたてる者もいる。
そんな環境で育ったアポーニョは今マラガCFになくてはならない選手のひとりとなった。彼はほんの2年前まで、スペイン2部リーグBに所属するUDマルベージャの選手であった。
このチームでプレーをしていた彼をマラガCFに呼んだのは、フアン・ラモン・ロペス(現ラシン・サンタンデール監督)である。




                        フアン・ラモン・ロペスはUDマルベージャでの監督を経て、マラガCFが2部から1部リーグへと昇格することとなった、2007‐2008シーズンの監督であった。
彼の強い薦めで地元マラガCFへと移籍したアポーニョは確実にその才能を伸ばし、現在ではマラガCFになくてはならない存在となった。

 そんな彼を、第19節の対エスパニョール戦において、じっくり観察する人物の姿があった。イギリスプレミアリーグのトッテナムとハル・シティーのスカウトである。
この試合でアポーニョは彼の得意分野であるペナルティーを確実に決め、また試合の随所で彼の存在感を存分にアピールすることが出来た。彼はキッカーを任された全てのPKでゴールをあげているリーガエスパニョーラ唯一の選手であり、その確実なプレーはヨーロッパの多くのクラブの関心を呼んでいる。
とはいえアポーニョは昨夏、マラガCFと4シーズン契約を結んでいるため、移籍が行われるかどうかは現時点ではわからない。

 マラガCFのホームスタジアム、ロサレダから彼の生まれ育った地区を臨むことが出来る。
ひとりのジプシー少年が描いた夢が、彼の夢の象徴だった場所で繰り広げられているのだ。
アポーニョ選手のこれからにますますの期待を込めて・・・

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